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2026年3月19日

セガが Epic Online Services で「ソニックレーシング クロスワールド」のグローバル クロスプレイを実現

AAA

SEGA

Sonic Racing: CrossWorlds

クロスプレイ

マルチプレイヤー

1991 年に最初の「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を発売して以来、セガを象徴する青いハリネズミは、ゲーム史上最も認知度が高く、長期にわたる大人気シリーズの 1 つへと成長しました。

2025 年 9 月に発売された「ソニックレーシング クロスワールド」は、PC とコンソール プラットフォームの間でのクロスプラットフォーム マルチプレイヤー体験を提供し、シリーズにとって評価においても売上においても、新たなマイルストーンを打ち立てました。

この体験を世界規模で実現するには、技術上の高度な課題があり、幅広いプラットフォームとネットワーク環境において、信頼性の高いクロスプレイ、一貫したパフォーマンス、迅速な応答性が必要でした。 

このデベロッパー Q&A では、「ソニックレーシング クロスワールド」の開発チームが、Epic Online Services を活用してこういった課題にどのように対処し、世界中のプレイヤーに大規模なオンライン レースを提供したかについて語ります。

はじめに、「ソニックレーシング クロスワールド」の開発チームのバックグラウンドと、その経験がオンライン マルチプレイヤーへのアプローチにどのように影響したかについて教えてください。


セガは 40 年以上にわたり、「アウトラン」、「デイトナUSA」、「セガラリー チャンピオンシップ」など、幅広いアーケード ゲーム タイトルを開発し、プレイヤー体験を常に進化させてきました。

特にレース ゲームにおいては、長年にわたり、同期制御とリアルタイム通信に最適化された独自の P2P ネットワーク システムの改良を重ね、低レイテンシーのマルチプレイヤーを実現しています。20 年以上にわたるオンライン機能を搭載したアーケード ゲームの運用を通じて培われた基盤技術とノウハウは、現在もエンジニアの間で受け継がれ、向上され続けています。

経験豊富なメンバーを中心とする開発チームが、「ソニックレーシング クロスワールド」のグローバルなクロスプラットフォーム マルチプレイヤーの開発という難題に挑みました。

既存の P2P 方式を完全にグローバルなクロスプラットフォーム環境に拡張するにあたり、どのような新たな技術上の課題が生じたのでしょうか?


技術スタッフはインハウスの P2P 通信システムの導入経験があり、日本およびアジアのネットワーク環境でスムーズなゲーム体験を提供してきた実績がありました。
 
その一方で、「ソニックレーシング クロスワールド」の実装では、新たな技術的課題に直面しました。この課題には、PC とコンソール プラットフォーム間のクロスプレイ、世界中のネットワーク環境に対応した通信 API の開発、グローバルなユーザー ベースをサポートできるサーバーのスケーラビリティなどがあります。

これらの課題に取り組むために Epic Online Services を選んだ理由を教えてください。


EOS には、このプロジェクトに最適なツールであるとチームが判断した 3 つの特徴があります。

1 つ目は、クロスプラットフォーム対応の SDK であるという点です。この SDK は幅広いコンソールに対応しており、すぐに実行可能な環境を提供しています。SDK はクロスプレイに対応しているため、技術的な課題を解決できるだけでなく、プレイ可能な ROM を迅速に作成できます。これにより、オンライン レース体験を段階的に向上させることができるのです。

2 つ目は、EOS がスケーラビリティを考慮して設計されている点です。フォートナイトでわかるように、Epic は世界中の数百万人のプレイヤーをサポートできるサーバー インフラストラクチャを運用しています。この信頼性と実績を誇るインフラストラクチャは、サーバーのスケーラビリティへの対応と、リリース後も確実に安定して運用できるという点で大きなメリットがあります。

3 つ目は、ネットワーク API の適応性です。EOS の API は、セガのチームが従来から開発してきた P2P 通信をサポートしています。また、ファイアウォールやネットワーク アドレス変換 (NAT) を適切に考慮したうえで、最適な接続方法を自動的に特定します。

コアとなるオンライン機能を備えた Unreal Engine 5 を採用したことで、EOS を効率的に統合することができました。EOS にさまざまなネットワーク機能を任せ、実績のある規模でのクロスプレイを実現することで、技術的な実装の詳細に気を取られることなく、ゲームの品質向上に専念できると考えました。

「ソニックレーシング クロスワールド」の開発に Unreal Engine を選んだ理由を教えてください。


EOS を選んだ理由と同様に、開発チームはマルチプラットフォーム展開を必要としていました。UE5 には優れたクロスプラットフォーム機能があることを知っていましたし、Unreal Engine の使用経験があったため、Unreal Engine を選択したのは自然な流れでした。

特筆すべきは、UE5 のプラグインとエディタ拡張機能を活用することで、このプロジェクト独自のレース サーキット制作ワークフローに合わせたインハウス ツールを開発し、生産性を向上させることができた点です。

グローバル規模でのネットワーク品質の検証は非常に重要だったと思います。そのためのイテレーションとテストに対するアプローチはどのようなものでしたか?


「ソニックレーシング クロスワールド」の開発において、グローバル規模でのネットワーク品質の安定化を目指し、複数の段階にわたるテストを計画し、PDCA サイクル (計画、実行、評価、改善) をイテレーションしながら、実装、検証、改善を続けました。

まず、社内テストで結果を蓄積しました。国内のオフィスでのテストから始まり、日本、ヨーロッパ、アメリカのオフィスへとテストを拡大し、最終的にクローズド ネットワーク テスト (CNT) を実施しました。これは、お客様が自分の環境でプレイできる初めての機会でした。

CNT の結果はどのようなものだったのでしょうか? 実際のプレイヤーの動作やネットワーク状況について、どのようなことが判明したのでしょうか?


テスト前の準備段階では、CNT の推定プレイヤー数を Epic Games と共有し、テスト中のサーバー拡張やモニタリングについて Epic Games にサポートしてもらいました。初めての大規模テストに臨むにあたり、Epic Games にサポートしていただき、非常に感謝しています。

その結果、全世界でのダウンロード数が 43,000 件、オンライン プレイ セッション数が 100 万件というマイルストーンを達成することができました。これは、マッチメイキングが常に約 15,000 人のプレイヤーをサポートするという当初の予想を上回る結果でした。
 
さらに、ゲームプレイ データを収集し、アンケートを実施しました。これにより、ユーザー間のレイテンシー、パケット ロス、リレー サーバーを経由した接続の割合といった定量データに加え、アンケートを通じてプレイヤーから得られたフィードバックを分析することができました。

これらの結果は、過去のアーケード タイトルから収集したオンライン プレイ データに基づく予測と一致したため、今後の開発に対する自信が高まりました。

予測が実際の結果に近かったことから、CNT 実施後のアンケート回答者の 95% がネットワークが安定していたと回答しました。これらのデータとフィードバックは、次の主要なマイルストーンであるオープン ネットワーク テスト (ONT) に向けて、予測と実際の結果の差異を解消するうえで重要な要素となりました。

CNT から得られたデータとフィードバックは、ONT の技術的な重点領域や優先順位にどのように直接的に反映されたのでしょうか?


私たちにとって、ONT はグローバル規模でのクロスプレイ ネットワーク テストを実施し、リリース前の最終調整を行ううえで最も重要なイベントでした。ONT では、クロスプラットフォーム環境における CNT 分析結果、直面した技術的な課題、そしてそれらの解決策についてご紹介します。
 

1. 高レイテンシー環境における予測動作の調整:

「ソニックレーシング クロスワールド」では、オンライン プレイヤーの動作は、プレイヤーの行動と予測アルゴリズムの組み合わせによって実現されます。対戦相手の車両の挙動は予測によって修正されますが、同時に、対戦相手の入力パケットを受信するとすぐに、対戦相手の車両の挙動に合わせて徐々に調整されます。これらをリアルタイムで組み合わせることで、動きを継続的に修正し、体感するラグを軽減します。予測精度を高めると、高レイテンシー環境への対応は向上しますが、対戦相手の動作との差も大きくなります。CNT データに基づいて、低レイテンシー、中レイテンシー、高レイテンシーの各環境における予測精度を調整しました。 

2. フレーム レートの違いによる自然なプレイ体験を実現するための通信頻度の低減:

「ソニックレーシング クロスワールド」は、さまざまなプラットフォームのスペックに応じて、30 fps または 60 fps で動作します。フレーム レートが異なる場合、ゲームのフレーム レートに基づいてパケットの送受信を行うと、フレーム レートの低い側がパケット処理に追いつけなくなります。パケット処理速度をゲームのフレーム レートとは独立して調整することで、車両の予測動作と併せてこの問題を解決しました。

これらの課題の解決は、ONT の安定性、拡張性、プレイヤー体験にどのように影響したのでしょうか?


これらの課題の解決が、ONT が 4 日間で 100 万ダウンロード、1,000 万プレイ セッションという大きな成果を達成できた要因の 1 つだと考えています。

大規模テストからリリースに向けて、さまざまなネットワーク環境で一貫した接続性を確保するために、どのような最終調整が必要でしたか?


ONT の通信エラーを特定するため、リモート勤務の従業員に標準的なインターネット接続で追加テストを実施してもらいました。この検証により、特定のネットワーク環境では、NAT タイプが切り替わる際に、P2P または LAN ルートで接続問題が発生する可能性があることが確認されました。その結果、通信経路をリレー サーバーに限定する「ForceRelays」モードに切り替えました。レイテンシーの最適化とのトレードオフはありますが、EOS SDK の動作モードを柔軟に切り替えられることは大きな利点だと考えています。

「ソニックレーシング クロスワールド」は、リリース当初、プレイヤーの反応やクロスプラットフォームでの利用状況の面で、どのような成果を上げたのでしょうか?


技術的課題を克服した末に、「ソニックレーシング クロスワールド」を無事リリースすることができました。結果として、Metacritic のユーザー評価は 9.0、Metascore の批評家評価は 82 を獲得しました。

Steam のレビューは大変好評で、販売本数は 100 万本を突破しました。Nintendo Switch 2 版もリリースされ、「ソニックレーシング クロスワールド」はすべてのコンソール プラットフォームでプレイできるようになりました。

クロスプレイに関しては、プラットフォーム間の障壁を取り除き、さまざまなプラットフォーム間でプレイヤーがプレイできる環境を提供することができました。

分析によると、2 プレイヤー スクワッドのうち 26% がさまざまなプラットフォームでプレイしています。

振り返ってみて、Epic Online Services は目標達成にどのように役立ちましたか?


EOS のおかげで、当初の目標をほぼ達成できたことに非常に満足しています。Epic チームからのきめ細やかなサポートが、目標達成に向けて強く後押ししてくれたと思います。
 
世界展開を目指す私たちのような開発チームにとって、EOS はかけがえのないサービスです。

「ソニックレーシング クロスワールド」の詳細については、公式ウェブ サイトまたは Epic Games Store の該当ページをご覧ください。

Epic Online Services の P2P サービスの詳細については、NAT P2P ドキュメントおよび P2P 利用ガイドをご覧ください。

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Epic Online Services (EOS) は、すべての主要なエンジン、ストア、プラットフォームで機能する無料のサービスであり、デベロッパーにゲームをリリースして拡張する力を与えます。 
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