Epic のクロスプレイへの取り組みの過程:
Paragon
、
フォートナイト
、そしてその先
2021年6月16日
クロスプレイは、過去数年のゲーミングにおける特徴的なトレンドの 1 つとなっています。
少し前までは、大手のプラットフォーム運営者がクロスプレイを取り入れ、競合するプラットフォームを利用する友人とシームレスにゲームを遊べるようになるというのは空想的な話でした。今では、それが現実になったばかりか、業界の標準となりつつあり、Epic Games はこの変化を推進する最前線に立ち続けています。
業界が大きな変化に向けて動き出したのは、2018 年 9 月のことでした。
フォートナイト
が、モバイル、PC、すべての主要コンソールでの完全クロスプレイを実現する初めてのゲームとなりました。2019 年 1 月には、
ロケットリーグ
がそのあとに続きました。それからほどなくして、デベロッパーの Psyonix は Epic ファミリーの一員となりました。
Epic が
フォートナイト
のクロスプレイで目指したのは、世界最大のゲームとなろうとしていた作品のために 1 つのコミュニティを作り出すことでした。そして、その機会を生かして、Epic はゲーム開発用のツールを拡張することにしました。
Epic の CEO、Tim Sweeney は次のように述べています。「Epic Online Services では、私たちの専門知識と成功を無償で共有して開発コミュニティに貢献しています。これは、Unreal Engine で長年やってきたのと同じことです。クロスプレイは Epic Online Services で提供する機能の大きな一部です。これは、私たちが
フォートナイト
を開発し、現在のような並外れたゲームにしてきた経験に基づいて開発されています」
2021 年に、Epic は Epic Online Services のツールセットを拡張し、新機能を追加する予定です。しかしまずは、始まりに立ち返ってみましょう。
多くの方がご存じでないようですが、クロスプラットフォームの互換性に対する Epic の取り組みは、
フォートナイト
から始まったのではなく、マルチプレイヤー オンライン バトル アリーナ ゲーム、
Paragon
から始まりました。
2017 年には、
Paragon
は PC と PS4 のみをサポートしていました。規模が比較的小さかったため、クロスプレイに関する初期の研究と開発が行いやすくなっていました。チームは、稼動中の
Paragon
の環境を利用して、クロスプラットフォームのマッチメイキング、クロスプラットフォームの認証、プロフィール システムを伴うクロスプログレッションをテストすることができました。また、リアルタイムのサービス監視システムを開発し、マッチメイキングの所要時間の問題や、発生しているセキュリティの問題を特定することができました。
Epic Games のリード ソフトウェア エンジニア、Josh Markiewicz は次のように述べています。「ちょっとした図表やテレメトリでゲームの状態を把握することができました。なぜクラッシュしたのか、なぜマッチメイキングされない人がいるのか、ということがわかりました。コードのインストルメンテーションは重要でした。これがなければ、目隠しをして空を飛ぶようなことになります。特に
Paragon
では、スキルベースのマッチメイキングに初めて取り組みました。並外れたスキルを持った e スポーツの競技者たちに対してすぐにマッチメイキングできるようにするには、マッチメイキングに関するコードのパフォーマンスについて詳しく知る必要がありました」
プレイヤーの集団に見られる毒性についても学ぶことができました。Epic は、プラットフォームをまたいで友人とプレイできるようにすることで、ゲームプレイのポジティブなエクスペリエンスにつながる強固な土壌が築かれ、全体の毒性が低下することを発見しました。
Paragon
のリリースの約 1 年後、チームは
フォートナイト
のリリースに向けた準備を始めました。
エンジニアリング ディレクターの Greg Latcovich は次のように述べています。「内部的には、
フォートナイト
のオンライン バック エンドは、
Paragon
で使っていたものに手を加えたものでした。
フォートナイト
はマルチ プラットフォーム対応だったので、クロスプレイの対象範囲も拡大しました。プレイヤーもプラットフォームも増加し、新たな課題が生じました。たとえば、プレイヤーが複数のデバイスやプラットフォームでゲームを続けられるようにする、クロスプログレッションの円滑化が問題となりました」
当初、2 つのゲームはオンライン テクノロジーを共有し、
フォートナイト
は内部的にはまったく同じコードを使っていましたが、
フォートナイト
が発展するにつれ、その状況は変化し始めました。現在 Epic Online Services の一部となっているサービスは、そのコード ベースが進化したものです。
フォートナイト
のクロスプログレッションにおける課題は、ユーザーがゲームの進捗と友人とのつながりをすべてのプラットフォームにわたって管理するための単一の ID を提供することでした。まず、プレイヤーは Epic Games アカウントにログインするか、アカウントを新規作成します。
Epic Games のリード UI プログラマー、Don Eubanks は次のように述べています。「プレイヤーが
フォートナイト
に初めてログインする場合、そのプレイヤーがすでにアカウントを持っているかどうか、ゲームは最善を尽くして判断します。これは、不要なアカウントの作成を抑えるためです。ほとんどのプラットフォームでは、単純にアカウントをプラットフォーム独自のアカウント システムと結び付けることでこれを実現できます」
モバイルと Web ベースのログインについては、Epic は追加のクロスプラットフォーム ログイン方法をサポートしました。たとえば、Facebook や Google のアカウントでのログイン、一般的なメール アドレスとパスワードの組み合わせなどです。アカウントを結び付けるロジックのすべては Epic のバックエンド サービスにあります。現在、Epic Online Services は、Epic Account Services を利用した、クロスプラットフォーム ログインのためのすぐに使えるソリューションを提供しています。
別のプラットフォームを利用する友人とパーティを組んでプレイできるようにすることも課題となりました。
Eubanks は次のように述べています。「多くのプラットフォームが、パーティについて独自の仕組みを提供しています。しかし、それらを利用すると制約が生じます。コンソールでのパーティはゲームに依存しないものが多く、使えるのはボイスチャットのみで、ほかのコンソール、PC、モバイルのユーザーは参加できません。モバイル プラットフォームではパーティをサポートしていないものもあります。パーティの利用方法や、パーティを利用するメリットを説明していないこともあります」
フォートナイトのパーティ システムは、当初は、当時最も広く利用されていた標準である XMPP ベースのアプローチを採用しました。オープン ソースで、プラグインによって拡張可能であり、
フォートナイト
に導入される前に
Paragon
で展開されたものでした。Epic の認証サービス、チャット サービス、フレンド サービスとのカスタム連携が開発されましたが、時間が経つにつれて弱点が浮かび上がってきました。
「コミュニケーション全般に、ピアツーピアツーピア構造の一種であるスター型を使っていました。ユーザーが何かをローカルで変更すると、その変更について伝えるメッセージをほかのユーザー全員に送る必要がありました。少人数ではこれでうまくいくのですが、人数が増えると問題が生じました」と Eubanks は述べています。
2019 年に Epic のパーティ サービスが誕生し、16 プレイヤーのパーティをサポートしました。新しいシステムでは、セキュリティ、クライアントの認証、パーシステンス、スケールについての
フォートナイト
のアプローチを見直しました。システムは、メンバーの情報を制御し、コンソールの API と完全に連携します。これは、招待からの起動をサポートし、ネイティブ ダッシュボードのフレンド リストに正しい情報を表示するために必要なことでした。このパーティ サービスは、Epic Account Services の一部として、2021 年後半に利用できるようになる見込みです。
次の課題はボイス チャットでした。結局のところ、マルチプレイヤー ゲームを楽しむ人たちにとって、ボイス チャットは最も重要なツールの 1 つです。友人と話をするだけでなく、連携して効果的に協力プレイをするためにも使います。
Epic はすべてのゲーム デベロッパーがボイス チャットを無償で利用できるようにしました。このサービスは
フォートナイト
でプライベート テストされました。ローカル ミュートや、認証されたパーティ メンバーからの音声接続のみの有効化などの機能をサポートします。
Paragon
と
フォートナイト
の開発の初期段階における成果であった一連の強力なツールが、Epic Online Services の基盤となりました。
Paragon
が
フォートナイト
の役に立ったように、Epic は
フォートナイト
への取り組みを通じて Epic Online Services の新機能を作成し、検証して、デベロッパー コミュニティにリリースする前に徹底的なテストを行っています。学んだことを Epic Online Services に反映し、その過程で、すべてのデベロッパーが無償で利用できるツールの数は増加していくでしょう。
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